おしえて!矯正歯科の上野先生!

前歯だけ矯正(部分矯正)

おしえて!矯正歯科の上野先生!
  • 前歯の1本だけ、2本だけ、4本だけという部分矯正はできますか?

    矯正治療には、すべての歯をコントロールする全顎的治療に対して、部分的(数歯)に装置をつける「部分矯正」という治療方法があります。

    多くの場合、「目立つ前歯だけを治したい」と希望される患者さんに対して、適応できるケースであれば部分矯正治療が選択肢の一つとなります。

    部分矯正は、治療期間も短くなり、費用も抑えられますので、患者さんにとっては負担の少ない治療法といえます。

    適応となるケースは、

    抜歯の必要のない軽度の症例
    かみ合わせには問題がなく、前歯の1、2本だけが出っ歯になっている
    かみ合わせには問題がなく、前歯の1、2本の歯が少しねじれている、または、少しの隙間が気になる

    等が部分矯正に向いているケースです。

    一方で、奥歯のかみ合わせが原因となって前歯の歯並びが崩れている場合は、その部分だけを治しても残念ながら根本解決には至りませんので、全顎的な治療が必要になります。

    また、よく患者さんに聞かれることに
    「前歯2本だけの出っ歯を治したいので、2本だけに装置をつけて治せますか?」という質問があります。
    残念ですが、答えはNOです。

    考えてみて下さい。動かしたい歯だけにつけても、動かす歯に対して力を加える土台がなければ歯は動きません。つまり固定源(支え)となる歯にも装置が必要なわけです。
    一般的に、装置は犬歯から犬歯までの6本につけることが多く、その方が一部の歯に負担をかけすぎることなく時間的にも効率よく動かせて、仕上がりもきれいなのです。

    自分は、部分矯正が可能なケースだろうか?
    無理なく理想の歯並びになる治療法は?
    まずは、適切な治療法を提案できる矯正専門医に相談して下さい。

  • 部分矯正のメリット、デメリットについて教えて下さい。

    部分矯正のメリット

    1. 全体の治療より、費用が抑えられる
    2. 全体の治療より、治療期間が短い
    3. 気になる部分を気軽に改善することができる

    部分矯正のデメリット

    1. 不正咬合の種類、程度により、すべての症例に対応できるわけではない
    2. 見た目の改善ができたとしても、かみ合わせの改善にはつながらない場合がある
    3. 前歯だけの部分矯正は、前歯が前方に突出してしまうことがある
    4. ケースによるが、IPR(隣接面削合=歯のエナメル質を削って隙間を作る方法)が必要になることが多く、治療後のカリエスリスク(虫歯のリスク)が高くなる。
  • 自分で前歯の矯正をすることはできますか。

    どのようなケースにおいても、矯正治療は専門医による適切な診断と技術が必要です。

    ネット上であるような、指や割り箸などで無理な力をかけても、歯は正しく動かないばかりか、自己流のやり方は、過度の力がかかり、歯の根や歯を支える骨を痛めるなどで歯の寿命を短くしたり、歯を失うことにもつながります。これは大変危険なことです。

  • 前歯だけ矯正する場合の費用は?

    全顎的治療より低額で治すことができます。値段についての詳細は「矯正料金のページ」でご確認ください。厚労省の認める保険適用症例以外は、健康保険の適用にはなりません。部分矯正であっても、矯正治療費は医療費控除の対象となりますので、必要な領収証はなくさず保管しておきましょう。

  • 前歯が大きいのが気になるのですが、矯正で治せますか?

    前歯の大きさは、男女で大きな差はなく、平均の横幅は8.5〜8.6mm程度で、10mmを超えると歯が大きいと言えます。

    しかし、実際の数値の問題よりも、歯並びが凸凹していたり、前歯2本が出っ歯になっている、または傾きがあり飛び出して見える、隣りの歯が奥まっている、などの影響で、相対的に前歯の大きさが強調されていることも少なくありません。

    また、前歯の長さに関しては、平均値は10〜11mm程度ですが、それより長い場合は、歯茎の退縮により歯の根元が露出していることが原因になっていることもあります。これは、歯周病や歯ぎしり・食いしばり、加齢により起こるものです。

    矯正治療で歯の大きさそのものを変えることはできませんが、歯並びによって前歯が大きく見えることを改善することができます。

  • マウスピース矯正で前歯だけ治せますか?

    はい、治すことは可能です。
    ただし、マウスピースで治療可能なのは、軽度の不正咬合(前歯の重なりが1〜2mm程度)に限られます。前歯の改善のために奥歯を動かす必要があるケース、歯を抜く必要があるケースはマウスピース矯正の適応ではありません。

  • 前歯だけの矯正ですきっ歯は治療できますか?

    軽度の症例に限り可能です。
    しかし、前歯の隙間を改善するためには、奥歯の力を借りなければならないケースが多く、部分矯正では難しい場合が多いです。その場合は片顎、または全顎の治療が必要になります。

  • 前歯だけの矯正で出っ歯は治せる?

    かみ合わせに問題がなく、軽度の出っ歯であれば部分矯正で引っ込めることは可能です。
    ただし、抜歯が必要なケースなどで、前歯を大きく後ろに下げる場合には奥歯にも装置が必要となります。

  • 前歯のみの治療の場合、セラミック矯正ってありですか?

    セラミック矯正は矯正治療ではありません。前歯の凸凹の改善のために歯を削って被せ物をする補綴治療を指しますが、健康な歯を削らなければならないというデメリットがあります。

  • 前歯がねじれているのですが、部分矯正で治せますか?

    歯が捻転している、または前歯が斜めに生えていてハの字になっている、などの場合、軽度のケースでは前歯だけの部分矯正で改善が可能です。
    ただし、ねじれの程度が大きければ、奥歯にも装置をつけないと改善が難しいことがあります。

  • 前歯の重なりを部分矯正で治せますか?

    歯の重なりが軽度(1〜2mm程度)であれば、治療が可能です。ただし重なりが大きい場合や、原因が奥歯のかみ合わせにある場合等は、全体に装置をつけて改善する必要があります。

  • 前歯のみの矯正の場合の期間はどのくらいですか?

    歯を動かす装置(ワイヤー矯正、マウスピース矯正)の装着期間は1〜1.5年程度、その後歯の位置を安定させる期間(保定期間)として2年程度必要です。

  • 下の前歯だけの矯正はできますか?

    下の前歯だけの治療が可能かどうかは、上の前歯との位置関係が重要なポイントとなります。

    上下の前歯が深くかみ込んでいる(かがい咬合)のケースや、歯のでこぼこの程度が重度の場合は、下の前歯だけではなく、奥歯にも装置をつける必要があったり、上の歯にも治療が必要になるケースもあります。

  • 前歯だけの裏側矯正とはどういった治療となりますか?メリット・デメリットも教えてください。

    裏側に装置をつけて部分矯正治療をするメリットは、全顎的治療と同じで装置が見えない事です。

    デメリットとしては、上の前歯の裏側に装置をつけて治療する場合、上下の前歯が深く噛み合っているケースでは下の前歯が装置にぶつかってしまうため、装置をつけることができません。よってこのケースでは、表側で治療することになります。

  • 子供の前歯だけの矯正はできますか?

    歯を並べる隙間があれば、治療は可能です。隙間がないケースでは、顎を拡げる必要があります。

著者プロフィール

上野拓郎 博士(歯学)

E-line矯正歯科 院長
日本歯科専門医機構認定 矯正歯科専門医・研修指導医
日本矯正歯科学会 認定医・指導医・臨床医(旧臨床指導医)
世界舌側矯正歯科学会(WSLO) 認定医

北海道大学歯学部卒業後、歯科矯正学を専門に研鑽を積み、1997年にE-line矯正歯科を開院。矯正歯科分野において30年以上の臨床経験を重ね、日本矯正歯科学会認定医・指導医・臨床医(旧臨床指導医)、舌側矯正の国際的認定医など多数の資格を取得。2023年には日本歯科専門医機構より「矯正歯科専門医」、2025年には「研修指導医」に認定される。