出っ歯です。一年後に結婚式がありますが、それまでに治りますか?

イーラインの裏側矯正
歯の裏側にブラケットをつけて歯並びを整える治療法で「舌側矯正治療」「リンガル矯正治療」とも呼ばれます。当院では開院当初より約30年、この審美性に優れた治療法でたくさんの症例を積み上げてきました。
一般には表側からの治療に比べ、より繊細で高度な技術と専門性が必要とされ「表側に比べて歯の動きが悪い」「時間がかかる」等と言われることもありますが、経験とスキルを積んだ専門医であればそのようなことは決してありません。
当院で使用するリンガルブラケット矯正装置
- より小さく薄く改良され、「話しづらさ」が大幅に改善されている
- 歯磨きもしやすく口腔内を清潔に保つことができる
- 「セルフライゲーションブラケット」を採用することでブラケットとワイヤー間の摩擦抵抗を減らし(ローフリクション)、弱い力でスムーズに歯を動かせる
- 治療期間の短縮が期待できる
- ワイヤーの交換がスピーディー。診療時間も短縮され患者さまにとっての負担が少ない。

裏側矯正のメリット・デメリット
メリット
1 装置が目立たない
周りの人に気づかれないうちに歯並びをきれいにすることができます。職業柄装置が見えると困るという方や、出来るだけ目立たずに矯正治療を受けたいという方におすすめです。また成人式や結婚式などのライフイベントがある時も治療が継続できます。
2 虫歯になりにくい
歯の裏側は表側よりエナメル層が3倍ほど厚く細菌に強いことや、裏側には常に唾液が循環し洗浄されていること。
また、舌が常に動いているので表側に比べると汚れが比較的つきにくいためです。
3 食事の時人目を気にしなくていい
装置の間に食べ物が挟まっても周囲からは見えませんので、外食も気にせず楽しむことができます。
4 見た目にきれいな歯並びを早く実感することができる
最初の6ヶ月ほどで前歯はダイナミックに動くことが多いです。表に装置がついている場合は実感しにくいですが、裏側についている場合は装置が見えないのできれいな歯並びになるメリットを早く受け取ることができます。
5 舌の癖を治せる
舌で前歯を押してしまう癖がある方は、出っ歯になりやすかったり、せっかくきれいになった歯並びを元に戻してしまうなどのリスクがありますが、裏側についた装置が舌癖防止の役割を担い、舌を正しい位置に置くことが習慣化できます。
6 スポーツの時怪我をしにくい
スポーツ時にボールや手などが顔に当たっても口の中を傷つけるリスクが低いです。
デメリット
1 舌に痛みを感じる
口の中に違和感や痛みを感じることがありますが、大抵は1〜2週間で慣れてくる方が多いです。
特に舌で歯に触れたり押したりする癖がある方は、舌が傷ついたり口内炎になってしまうこともありますが、結果として舌の癖を治すことにもつながります。
2 慣れるまでは話しにくい
サ行、タ行など発音がしづらくなる場合がありますが、ひと月ほどで慣れる方が多いです。当院には、これまでも舌側矯正を受けるアナウンサーの方や接客などで話す機会が多い患者さまも多数いらっしゃいますが、問題なくお仕事をされています。
3 歯磨きの時汚れが見えづらい
汚れが見えにくいので磨き残しがないよう専用のフロスや歯間ブラシなどで丁寧に口腔ケアをする必要があります。
4 費用が高額になる
複雑な装置をオーダメイドすることや、より高度な技術が必要になるため表側よりやや高額になってしまいます。下の歯は表側の装置をつけ、より見えやすい上の歯だけに裏側の装置をつけるという方法を取ると費用を抑えることができます。(ハーフリンガル治療)
日本発祥の革新的な技術「舌側矯正治療」
歯の裏側にブラケットをつけて治療する「舌側矯正」は、1970年代に日本で誕生しました。
その後欧米にも紹介されていきましたが、日本ほど普及することはありませんでした。理由は、目立つことを好まない日本人に比べ、装置が見えることにさほど抵抗がない国民性などが挙げられるでしょう。加えて、日本人の器用さが高度な技術や手間が必要であるこの治療法をさらに改良し発展させるのに向いていたとも言えます。
そのため日本の舌側矯正は、現在世界のトップレベルとなっています。
Case
舌側矯正の治療例
Case
症例1 叢生(乱杭歯)
主訴 | でこぼこ、八重歯、歯が磨きづらい |
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初診時年齢 | 25歳10か月 女性 |
診断 | 歯と歯槽基底の大きさの不調和による叢生の症例 |
使⽤装置 | マルチブラケット装置(リンガルブラケット)、フィックスドリテーナー |
抜⻭・⾮抜⻭ | 上顎左右第一小臼歯 下顎右側中切歯および左右第三大臼歯 |
治療期間 | 動的治療期間:30か月 現在保定期間中 |
治療 |
上下顎前歯の叢生のため、上顎両側第一小臼歯、下顎右側中切歯を抜歯して治療開始。 上顎の抜歯スペースの閉鎖、上顎前歯の後方移動のため、上顎臼歯部口蓋側に矯正用アンカースクリューを埋入した。 |
治療費 |
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リスク・副作⽤ | ブラケット装着中は歯磨きがしづらくなり、カリエスリスクが高くなる。歯の移動方向によっては、歯根吸収、歯肉退縮を起こすことがある。 |
初診時



治療開始5か月後



治療開始22か月後



動的治療終了時:治療開始30か月後



症例2 開咬(オープンバイト)
主訴 | 出っ歯、前歯が噛み合わない、口が閉じにくい |
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初診時年齢 | 18歳8か月 女性 |
診断 | 上顎前歯の唇側傾斜および舌癖による前歯部開咬の症例 |
使⽤装置 | マルチブラケット装置(リンガルブラケット)、フィックスドリテーナー |
抜⻭・⾮抜⻭ | 上下顎左右第一小臼歯 |
治療期間 | 動的治療期間:23か月 現在保定期間中 |
治療 |
上下顎前歯の前突改善、及び開咬合のため、上下小臼歯を4本抜歯して治療開始。 開咬の要因の舌突出癖に対して、舌のトレーニング(MFT)を行っている。 |
治療費 |
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リスク・副作⽤ |
ブラケット装着中は歯磨きがしづらくなり、カリエスリスクが高くなる。歯の移動方向によっては、歯根吸収、歯肉退縮を起こすことがある。 悪習癖(舌突出癖)は、咬合の安定を妨げる要因となることがある。 |
初診時



治療開始2か月後



治療開始11か月後



動的治療終了時:治療開始23か月後



症例3 叢生(乱杭歯)
主訴 | でこぼこ、八重歯 |
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初診時年齢 | 22歳11か月 女性 |
診断 | 歯と歯槽基底の大きさの不調和による叢生の症例 |
使⽤装置 | マルチブラケット装置(リンガルブラケット)、フィックスドリテーナー |
抜⻭・⾮抜⻭ | 上下顎左右第一小臼歯 |
治療期間 | 動的治療期間:24か月 現在保定期間中 |
治療 |
上下顎前歯叢生改善のため、上下小臼歯を4本抜歯して治療開始。 上顎の抜歯スペースの閉鎖、上顎前歯の後方移動のため、上顎臼歯部口蓋側に矯正用アンカースクリューを埋入した。 |
治療費 |
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リスク・副作⽤ | ブラケット装着中は歯磨きがしづらくなり、カリエスリスクが高くなる。歯の移動方向によっては、歯根吸収、歯肉退縮を起こすことがある。 |
初診時



治療開始3か月後



治療開始13か月後



動的治療終了時:治療開始24か月後



FAQ
舌側矯正についての質問
FAQ
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症状によりますが、1年で治療が完了することは難しいかもしれません。ただ、舌側矯正治療は特に前歯を引っ込めるのが得意な治療法です。他人からは装置が見えませんので、半年ほどで前歯はきれいに並んだ状態に見えるでしょう。笑顔の写真なども問題なく撮れますね。
ただ、矯正治療は歯を並べるだけが目的ではありません。上下の咬み合わせをしっかり整える期間、それを安定させる保定期間が必要ですので、結婚式後にも治療を継続していかれると良いでしょう。
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人前で話すことが多い仕事をしています。話しにくくなることが心配です。
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舌先が歯の裏側、または歯と歯ぐきの境目に触れることで発音する「サ行」「タ行」「ナ行」「ラ行」が発音しづらくなることが多いですが、2〜4週間ほどで慣れてくる方が多いです。対処法としては、舌を動かすトレーニングやゆっくり話すことなどで装置が口の中にある状態での発音の仕方に慣れることです。
また「矯正用ワックス」(痛みや違和感が出ないよう装置に貼り付ける柔らかい粘土のようなもの)をつけることで、舌先が滑らかに動いて話しやすくなる方もいらっしゃいます。実際、アナウンサーの方がこの方法でお仕事をされていました。
効果のある対処法は人により違いますが、当院スタッフは全員矯正治療経験者ですので、治療が始まりましたら遠慮なくご相談ください。
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