出っ歯とはどんな状態ですか?
出っ歯の矯正
- 出っ歯とはどんな状態ですか?
- マウスピース矯正で出っ歯は治りますか?
- 出っ歯を矯正すると横顔はどうなりますか?
- 前歯だけの部分矯正で出っ歯は治りますか?
- 出っ歯の矯正の費用はどのくらいかかりますか?
- 出っ歯の矯正期間について教えてください
- 出っ歯を自力で矯正することはできますか?
- 出っ歯の矯正の際のゴムかけの効果を教えてください
- 非抜歯矯正で出っ歯になると聞いたことがありますが、本当ですか?
- セラミック矯正で出っ歯を直すというのはどうでしょうか?
- 出っ歯の矯正をしましたが、後戻りさせたくないです。日常生活での注意点を教えてください
- 出っ歯の矯正で抜歯が必要になるのはどんな場合でしょうか?
- 出っ歯の矯正で人中は伸びますか?
- 大人になってからでも、出っ歯の矯正は遅くないですか?
- 出っ歯の矯正でガミースマイルは治りますか?
- 出っ歯の矯正の経過はどのようなものになりますか?
- 子どもが出っ歯なのが気になっています。歯科矯正をした方がいいでしょうか?
- 歯列矯正時に、一時的に出っ歯になることがあると聞きました。心配なのですが、なぜ一時的に出っ歯になるのですか?
- 矯正治療後に出っ歯になることはありますか?
- 矯正治療で使うインプラントとはどのようなものですか?
- 出っ歯の歯科矯正は、保険がききますか?
- 高校生です。出っ歯の矯正をしたいのですが、費用はどのくらいかかりますか?
- 前歯が大きいです。出っ歯の矯正で改善できますか?
- 出っ歯ですきっ歯です。矯正できれいに治りますか?
- 出っ歯の矯正期間について教えてください。やはり時間はかかりますか?
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出っ歯とは上の前歯が飛び出て見える状態、正式には「上顎前突(じょうがくぜんとつ)」といいます。
骨格的な要因の場合は
・上の顎が飛び出ている=上顎の過成長
・下の顎が引っ込んでいる=下顎の劣成長歯の要因の場合は
・上の前歯が外向きに生えている=上顎前歯の唇側傾斜また、上記要因がいくつか組み合わさっているケースも多く見受けられます。
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マウスピース矯正で出っ歯は治りますか?
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軽度の出っ歯、骨格的な要因があまり強くないケースであれば治療は可能ですが、その際にきちんとした検査・診断が不可欠です。
重度の出っ歯の場合、前歯を引っ込めるためには抜歯が必要になるケースが多くなり、抜歯ケースが不得手なマウスピース矯正より、ワイヤー矯正の方がきれいに治すことができます。
ワイヤー矯正の装置が目立つことに抵抗があるのであれば、装置の見えない裏側矯正という選択肢があります。
裏側矯正では出っ歯の治療はできない、というコメントが見受けられますが、むしろその逆で、裏側矯正は前歯を引っ込めるのが得意な治療法です。
治療方法で悩まれているのであれば、ワイヤー矯正(表側、裏側)、マウスピース矯正全てに対応できるところで相談されたらどうでしょうか。きちんと診断した上で、あなたにとって適切な治療法を提示してくれると思います。
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出っ歯を矯正すると横顔はどうなりますか?
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出っ歯により唇が閉じにくい、あるいは、横から見ると口元が飛び出しているのが気になると相談にいらっしゃる方は少なくありません。
横顔(口元)のバランスは、上下の前歯の位置が大きく影響します。出っ歯の方が抜歯して治療した場合、前歯の位置が後ろに下がり、それに伴い唇も引っ込みます。
それによって口元の突出感は改善され、結果、横顔の印象は変わります。ただ知っていていただきたいのは、その口元の変化はかみ合わせの改善に伴う変化であって、審美的な改善を目指しての変化ではありません。矯正治療は美容整形ではありません。
出っ歯の治療による横顔のビフォーアフター
ビフォー アフター 重ね合わせ (ビフォー写真)下唇がめくれているのは、飛び出している上の前歯が下唇に当たっているためです。
(アフター写真)出っ歯が改善したことで上唇も自然な位置に。めくれていた下唇も本来の位置におさまり、口元が美しく整い、横顔もすっきりした印象に変化しました。
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前歯だけの部分矯正で出っ歯は治りますか?
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出っ歯に限らず、前歯だけ直したいと部分矯正を希望されて来院される方がいらっしゃいます。なぜ出っ歯になっているのか、その原因が上の前歯にだけに限られているのであれば部分的な治療も可能です。
しかし多くの場合、様々な要因が影響して出っ歯になっているので、その要因を改善しなければ、出っ歯は治りません。下の歯の位置が上の前歯の位置に影響しているのであれば、下の歯も治療することが必要ですし、奥歯の位置からズレていて出っ歯になっているのならば、全体的な治療が不可欠になります。
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出っ歯の矯正の費用はどのくらいかかりますか?
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矯正治療を受ける際には、まず検査・診断が必要ですので、それぞれ検査料、診断料がかかります。治療方針が決まると装置代、動的治療が終了した後は、後戻りを防ぐ保定治療に入り、保定装置代がかかります。そのほかに来院の際の調節料、観察料等が必要になります。詳しくは、料金表のページをご覧ください。
これらの値段は、出っ歯、叢生(凸凹)、受け口など不正咬合の種類に関係なく同じです。
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出っ歯の矯正期間について教えてください。
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出っ歯に限らず、本格矯正の動的治療期間(歯を動かす治療の期間)は、大体2〜3年、来院回数は20数回が平均的です。その後、後戻りを防ぐために保定期間という歯並びを安定させる期間が3年ほどあります。
これらの期間は目安であり、歯の動きには個人差があることや、治療中のトラブル(装置の破折、脱離、虫歯等)によって、治療期間に影響を及ぼすことがあります。
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出っ歯を自力で矯正することはできますか?
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舌で前歯を押す癖がある場合、その癖を治して舌先を常に正しい位置(上顎のスポットと言われるところ)に置き、かつ口の周りを取り囲む筋肉(口輪筋)をトレーニングで鍛えることで、出っ歯の程度が多少軽減される可能性はあります。この、舌や口周りの筋肉のトレーニングは「MFT(口腔筋機能療法)」と言われ、必要な患者さんには矯正治療と並行して行うことがあります。
しかしどの不正咬合も自力で治すことはできません。
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出っ歯の矯正の際のゴムかけの効果を教えてください。
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これは出っ歯に対する標準的な治療で、上の前歯から下顎の奥歯に向かって小さな輪ゴムをかけることで、下顎の歯並び全体が抵抗源となって出っ歯である前歯を後ろに下げ、上下の奥歯の位置関係を改善する方法です。ただ、
・1日のゴムの装着時間(本来食事、歯磨き以外は装着)により出っ歯の改善までの期間に差が出やすいこと(最低数カ月から1年以上)
・ゴムの力で下顎が前に引っ張られるため、出っ歯が改善されたのではなく下顎が一時的に前に出ただけで、ゴムの使用を中止すると後ろに下がってしまい、出っ歯の状態に戻ってしまう。といった問題があり、使用中は常に下顎の位置をチェックする必要があります。
このようなことから現在では、より効率的で確実な方法として「矯正用アンカースクリュー」を使用した治療を行うことが多くなっています。
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非抜歯矯正で出っ歯になると聞いたことがありますが、本当ですか?
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非常に大まかな説明になりますが、矯正治療では初診時の検査によって顎と歯の大きさのバランスがどの程度悪いのか、上下の前歯の位置が基準よりどの程度前に出ているのか、その2つを考え合わせて、抜歯、非抜歯の診断をします。
3人がけのベンチに無理やり5人が座っている状態を想像してみてください。この状態のままでは凸凹や出っ歯の改善には無理がありますから、抜歯が必要という診断になります。
このようなケースを非抜歯で治療すると前歯のでこぼこの重なりは、外側に拡がる歯の動きで改善されます。そのため治療前の位置より歯が前に出てしまい出っ歯の状態になります。
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セラミック矯正で出っ歯を直すというのはどうでしょうか?
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セラミック矯正は、歯科で言うところの矯正とは別の物です。矯正治療ではありません。
セラミック矯正は、歯を削ってセラミック等の人工の歯を被せ短期間で歯並びを整える方法です。歯の神経を取ってしまったり、見た目のために無理に歯の方向を変えてしまうため、歯の寿命に大きく影響を与えます。何年か先には作り直しをしなければならなかったり、最悪の場合、歯を失う危険性もあります。
本来の矯正治療は、時間はかかりますが、自分の健康な歯で機能的な咬み合わせを作るものです。一生自分の歯でしっかり咬むことができるのが最大のメリットです。
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出っ歯の矯正をしましたが、後戻りさせたくないです。日常生活での注意点を教えてください。
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矯正治療には、歯並びを改善する治療(動的治療)ときれいになった歯並びを維持する治療(保定治療)があります。
動的治療後の整った歯並び・咬み合わせが変化することを、イコール「後戻り」と解釈されることが多いですが、治療後の歯並びの変化は、言葉どおりの後戻りと、実はもう一つ「加齢変化」が挙げられます。口の中だけが年を取らないわけにはいきません。年齢とともに歯を支える骨の減少、歯周病などの要因によって、歯の周りの組織が10代や20代のように歯を支えきれなくなると、当然歯並び・咬み合わせに変化が起こってきます。これは後戻りではありません。
言葉どおりの「後戻り」を防ぐには、保定治療を正しく受けることが大切になります。矯正治療の成否は保定治療にかかっていると言っても過言ではありません。保定装置の使用をきちんと行わなかったり、保定治療時の通院を怠ったりした場合に「後戻り」は起こりやすくなります。保定治療の期間の目安は、少なくとも動的治療期間と同じ位は必要です。保定期間は長くて悪いことは一つもなく、3年以上長期にわたって保定装置を使用された方ほど、それ以降の咬み合わせは安定しています。
保定期間中の定期的な通院では、歯のクリーニングや咬み合わせのチェックはもちろん、虫歯や歯周病の早期発見もできます。この期間にホワイトニングを行う方もいらっしゃいます。
せっかくきれいになった歯並びを大切にケアし維持してください。
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出っ歯の矯正で抜歯が必要になるのはどんな場合でしょうか?
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前歯の歯の傾きを変えるだけで改善できるケースもありますが、多くのケースでは、飛び出している前歯を引っ込めるために、前歯の後ろにスペースが必要になります。そのスペースを得るために抜歯が必要となることがあります。
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出っ歯の矯正で人中は伸びますか?
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結論から言うと伸びません。伸びたように見えるのです。
理由は、前歯が飛び出ていると、その上に乗る上唇も上向きに傾斜しているため、正面から見ると本来の長さより短く見えます。治療によって前歯が下がると、上唇も下を向くので長く見えるのであって、伸びたわけではありません。本来の上唇の長さが見えるようになっただけです。
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大人になってからでも、出っ歯の矯正は遅くないですか?
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矯正治療に年齢制限はありません。50代、60代でも治療している方はめずらしくありません。
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出っ歯の矯正でガミースマイルは治りますか?
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ガミースマイルとは、笑った際に上の歯茎が必要以上に見えてしまうことです。
特に女性の方で、ガミースマイルが気になると来院される方は少なくないようです。
ガミースマイルになる要因としては、
1. 出っ歯のケースで上顎全体が前に出ていて、それに伴い上顎の歯茎が必要以上に見えてしまう。
2. 上唇が短いため、歯茎が見えてしまう。
3. 笑い方で、口角が上がらず上唇の中央(人中)が持ち上がり、歯茎が見えてしまう。などが挙げられます。
構造的な要因であれば、矯正治療で前歯を後ろに下げる、または上方に上げることで改善が期待できます。
3.の場合は、口角を引き上げる筋肉(口角挙筋、小頬骨筋等)と、口の周りの筋肉(口輪筋)等の表情筋のバランスを整えるトレーニングをすることも改善に有効です。
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出っ歯の矯正の経過はどのようなものになりますか?
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通常のおとなの矯正治療の場合、まずは初診の矯正相談を受けていただき、検査、診断、それに基づいて治療方針を決定します。
治療の経過としては
歯並び全体の整列 → 前歯の後方移動 → 抜歯スペースの閉鎖(抜歯ケースの場合)→ 噛み合わせの微調整→仕上げ → 保定
大まかな経過は以上のようになります。
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子どもが出っ歯なのが気になっています。歯科矯正をした方がいいでしょうか?
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お子様の不正咬合の相談で、親御さんだけでなく「本人が気にしている」と話されることが一番多いのが出っ歯です。
出っ歯は見た目にも目立ちやすい特徴ですので、特に小学生くらいになると、友達に言われるなどして気にするようになるケースが多いようです。
また、出っ歯のお子さんの70%程度に、前歯を何らかのかたちでぶつけたことがあるという報告もあります。単純にぶつける程度であればいいのですが、欠けたり折れたりする危険性をはらんでいます。
出っ歯に限らず、早期に始めることによって簡単な治療で終わることができたり、本格矯正(おとなの矯正治療)までに至らずに済む場合もありますので、早い段階で一度矯正相談をお受けになることをお勧めします。
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歯列矯正時に、一時的に出っ歯になることがあると聞きました。心配なのですが、なぜ一時的に出っ歯になるのですか?
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矯正治療のイメージとして、治療スタートの時点からゴールまで段階的にきれいになっていくと思われている方が多いと思います。
それは、ケースによっては間違いではありませんが、治療の過程で、きれいに並び始めていた歯並びに隙間ができたり、気になっている所がさらに気になるような歯の動きが見られたりすることがあります。
前歯のでこぼこがある出っ歯のケースでは、歯の重なりが前方へ拡がるようにして改善されるため、一時的に出っ歯が強調される場合があります。
しかし、このような歯の動きは、治療過程での想定内であり、矯正歯科医は治療計画の中で、治療スタートからゴールまで、どのように歯を動かすか、その際に歯並びにどのような変化が起きるのか、ということをしっかりシミュレーションしていますのでご安心ください。
毎回の調節の際には、次回までに起こる歯の動きについてきちんと説明をしますが、不安なことや気になることがあれば、遠慮なくお尋ねください。
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矯正治療後に出っ歯になることはありますか?
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治療後に出っ歯になる要因として
1. 保定治療をおろそかにした事で後戻りが起きた。
2. 舌突出癖が再発した。
3. 加齢とともに、奥歯の咬み合わせが下がり、上下の前歯が強くあたるようになり、その力で上の前歯が外側に傾いていった。などが考えられます。
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矯正治療で使うインプラントとはどのようなものですか?
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矯正で使用するインプラントは、正式には矯正用アンカースクリューといいます。
チタン製の小さなネジ状のもので、いろいろな歯の移動に使われます。
用途は様々ですが、出っ歯の治療の際にも使用することが多く、今まで難しかった歯の移動が可能になったり、治療期間の短縮につながったり、補助的装置として非常に有効なデバイスとしてスタンダードなものとなっています。
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出っ歯の歯科矯正は、保険がききますか?
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矯正治療は、保険適用外の自由診療です。
ただし、出っ歯でも矯正治療単独では治療できない重度の上顎前突では、診断の結果、顎変形症と診断された場合、保険適用となります。保険適用のケースでは、治療費は高額療養費制度が利用できます。また、併せて医療費控除も受けられますので、治療費や交通費の領収証は大切に保管してください。
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高校生です。出っ歯の矯正をしたいのですが、費用はどのくらいかかりますか?
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永久歯列期の矯正治療は「本格矯正治療」といい、かかる治療費は、出っ歯、叢生(凸凹)、受け口など不正咬合の種類に関係なく同じです。
矯正治療を受ける際には、まず検査・診断が必要ですので、それぞれ検査料、診断料がかかります。治療方針が決まると装置代、動的治療(歯を動かす治療)が終了した後は、後戻りを防ぐ保定治療に入り、保定装置代がかかります。そのほかに来院の際の調節料、観察料等が必要になります。詳しくは、料金表のページをご覧ください。
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前歯が大きいです。出っ歯の矯正で改善できますか?
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矯正で歯の大きさを変えることはできませんが、例えば前歯の真ん中2本が特に飛び出しているために大きく感じる場合があります。そのようなケースは、歯がきれいに並んで後ろに下がると大きく感じなくなることが多いです。
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出っ歯ですきっ歯です。矯正できれいに治りますか?
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すきっ歯とは、隣り合った前歯がくっついておらず、離れている状態をいいます。下の前歯が上の前歯の裏側の歯茎に深く咬み込んでいるケースや、舌突出癖(舌で前歯を押す癖)のある出っ歯の方に特徴的な不正咬合です。治療によって、前歯が下がるとともに隙間もなくなりきれいに並びます。
しかし、舌突出癖のあるケースでは、保定期間においては、きれいになった咬み合わせの安定のために舌のトレーニングを継続的に行うことが必須となります。
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出っ歯の矯正期間について教えてください。やはり時間はかかりますか?
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出っ歯に限らず、本格矯正の動的治療期間(歯を動かす治療の期間)は、大体2〜3年、来院回数は20数回が平均的です。その後、後戻りを防ぐために保定期間という歯並びを安定させる期間が3年ほどあります。
これらの期間は目安であり、歯の動きには個人差があることや、治療中のトラブル(装置の破折、脱離、虫歯等)によって、治療期間に影響を及ぼすことがあります。
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著者プロフィール
上野拓郎 博士(歯学)
E-line矯正歯科 院長
日本歯科専門医機構認定 矯正歯科専門医・研修指導医
日本矯正歯科学会 認定医・指導医・臨床医(旧臨床指導医)
世界舌側矯正歯科学会(WSLO) 認定医
北海道大学歯学部卒業後、歯科矯正学を専門に研鑽を積み、1997年にE-line矯正歯科を開院。矯正歯科分野において30年以上の臨床経験を重ね、日本矯正歯科学会認定医・指導医・臨床医(旧臨床指導医)、舌側矯正の国際的認定医など多数の資格を取得。2023年には日本歯科専門医機構より「矯正歯科専門医」、2025年には「研修指導医」に認定される。
