おしえて!矯正歯科の上野先生!

過蓋咬合(ディープバイト)の矯正

おしえて!矯正歯科の上野先生!
  • 過蓋咬合(かがいこうごう)とはどういった症状ですか?

    過蓋咬合(かがいこうごう)は別名「ディープバイト」とも言い、上の前歯が下の前歯に深く覆い被さった状態の咬み合わせのことを指します。上下の前歯の理想的な重なりは、垂直的に2〜3㎜程度です。それに対し、過蓋咬合では5〜6㎜以上深く重なり、下の前歯がほとんど見えないこともあります。

    正常咬合
    正しい咬み合わせ
    過蓋咬合
    過蓋咬合
  • 過蓋咬合を治療しないとどうなりますか?リスクについて教えてください。

    過蓋咬合を治療せずそのままにしておくと以下のようなリスクがあります。

    1. 成長期の下顎に対する影響:
      過蓋咬合により、下顎の動きが制限されることで、その成長が抑制されることがあります。これは上顎前突(出っ歯)の不正咬合に多く見られます。
    2. 上の前歯への負荷:
      過蓋咬合では、上下の前歯で食べ物を咬み切ることができず、下の前歯と上の歯の裏側の歯ぐきとで咬むことが多いため、歯ぐきが腫れたり、上の前歯に隙間ができたりすることがあります。また、加齢や歯周病によって歯肉退縮(歯ぐきが下がること)や歯の動揺等を引き起こす可能性があります。
    3. 関節症発症のリスク:
      過蓋咬合によって下顎の動きが制限されスムーズに行えないため、顎の関節に負担がかかり、顎関節症を発症することがあります。
  • 過蓋咬合の矯正について教えてください。

    他の不正咬合と同様に、ワイヤー矯正(表側、裏側)、アライナー(マウスピース)矯正で治療が可能です。ただし、アライナーを用いる治療(マウスピース矯正)は、重度の過蓋咬合には適していません。

    また、ワイヤー矯正はどのようなケースにも対応できますが、表側の装置を選択した場合、著しく咬み合わせが深いケースでは、治療の初期段階で上の前歯が下のブラケットにぶつかってしまうため、上だけ先に装置を付け、ある程度咬み合わせを改善した上で、時間差で下の歯に装置を付けることがあります。このような事から、一般的に他の不正咬合の治療より時間のかかるケースが多いといえます。

    当院では、治療を短期化するために上の歯は表側に、下の歯は裏側に装置を付け、上下同時に治療を開始することができます。こうすることで重度のケースでも、装置が咬み合わせに干渉する事なく、他の不正咬合とほぼ変わらない期間で治療することができます。

    詳細は症例ページをご覧ください。

  • 過蓋咬合を矯正したときの顔の変化について教えてください。

    1. 下顔面高の変化:
      過蓋咬合では噛み合わせが深いために下顔面高(鼻の下から顎の先までの長さ)が短く見えていることがあります。
      矯正治療により、下顎の位置が前方または下方へ変化することで、口元の圧迫感が減り、下顔面のバランスが改善します。治療後に顔が長くなる事を心配される方もいらっしゃいますが、元々の骨格にもよりますが、むしろ詰まっていた顔の下半分が自然な状態になる変化といえます。逆に、元々の骨格が面長でこれ以上縦方向に伸びることを避けたいという場合は、アンカースクリューを用いた治療を行います。いずれにしても、患者様のお顔のバランスに合わせた治療計画を立てて行いますので、まずはご相談ください。
    2. 口が閉じやすくなる:
      下顎が後ろに下がっていると口が閉じにくく、無理に閉じようとすると、口の周りの筋肉の緊張(特に下顎の先に梅干し様のしわ)が認められることがあります。治療により下顎の位置が改善されることで、口が楽に閉じられるようになり、横顔のバランスも改善されます。ガミースマイルの改善、もしくは軽減につながる場合もあります。
  • 過蓋咬合の矯正は、保険適応になりますか?

    顎変形症(小顎症、下顎後退症など)の診断名がついた不正咬合では保険が適応になります。しかし、それ以外のケースでは保険の適応とはなりません。

  • 子供が過蓋咬合です。どういった治療法がありますか?いつから矯正治療を始めるべきですか?

    過蓋咬合の原因が歯にあるのか(歯槽性)、骨格にあるのか(骨格性)、またその両方なのかによっても、適切な治療方法や開始時期に違いがあります。お子様の咬み合わせが気になった時点で一度ご相談にいらしてください。

  • 過蓋咬合になる原因は何ですか?

    1. 骨格的な原因としては、上顎骨の過成長や下顎骨の劣成長による前後的、垂直的な顎関係の悪化。
    2. 歯ぎしり・食いしばり等で、奥歯の高さが低くなる「歯の圧下」が起こると、前方の前歯の重なりが深くなる。
    3. 指しゃぶり、下唇を噛む、舌で前歯を押す、頬杖など、日常の悪習癖が歯の傾きを助長する。
    4. 虫歯などで奥歯が早いうちに抜けていたり(奥歯の早期喪失)、永久歯が先天的に欠損しているケースなど、歯に隙間のある状態を放置することで噛み合わせが低くなる。
    5. 口呼吸により口が常に開いていると正しい顎の成長が妨げられ、前歯が挺出(伸びる)しやすい。
  • 過蓋咬合の矯正は難しい治療なのですか?

    他の不正咬合と比べ時間がかかるケースはありますが、特に難しいということはありません。

  • 過蓋咬合を自分で治すことはできますか?

    できません。矯正歯科医にご相談ください。

  • 過蓋咬合の矯正の費用はいくらですか?

    他の不正咬合の治療費と同じです。詳細は「矯正料金」のページをご参照ください。

  • 過蓋咬合は手術しないと治りませんか?

    過蓋咬合の程度や治療時期等によります。手術が必要かどうかは、詳しい検査により診断します。

  • 過蓋咬合の矯正期間はどのくらいですか?

    程度や症状により治療に要する期間は変わります。他の不正咬合の場合と変わりません。

著者プロフィール

上野拓郎 博士(歯学)

E-line矯正歯科 院長
日本歯科専門医機構認定 矯正歯科専門医・研修指導医
日本矯正歯科学会 認定医・指導医・臨床医(旧臨床指導医)
世界舌側矯正歯科学会(WSLO) 認定医

北海道大学歯学部卒業後、歯科矯正学を専門に研鑽を積み、1997年にE-line矯正歯科を開院。矯正歯科分野において30年以上の臨床経験を重ね、日本矯正歯科学会認定医・指導医・臨床医(旧臨床指導医)、舌側矯正の国際的認定医など多数の資格を取得。2023年には日本歯科専門医機構より「矯正歯科専門医」、2025年には「研修指導医」に認定される。